33日目 どこまでも登っていける!
最後の難所と言われるセブレイロ峠に挑みました
絶対に気温は低いはずなのに、汗は止まらずピレネーのように心拍数は駆け上がります
アルベルゲ出た辺りではなんだかいつもより空気に水分が多い気がして、今度こそ雨が降るか⁉︎と構えておりました
霧というか、雲がわたし達のすぐ上にあるのがわかるかしら?寒そうでしょ?
きっと車からぽいって出されると寒いんだろうけど、各々バックパックを背負い、全身で有酸素運動を極めてる我らペリグリーノ(巡礼者)は当然のように半袖、ハーフパンツで汗だくです
どんだけ厳しいんだろう…と怯えておりましたが、大したことなかった٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
あれ?まだ行けるぞ?次の街行っちゃう⁉︎とか思ってもみましたが、こんな残りわずかのところでムリしてケガでもしたらダメなので、大人しく峠のてっぺんのアルベルゲに泊まりました
カミーノで最も古い教会にも寄ってきました
教会の中はストーブが付いていてとても暖かくてほっとしました
そして神父さん?にバイバイして外に出ると…寒っ‼︎(; ・`д・´)
慌ててパーカーとウインドブレーカーを着込みました
実はちょっとした訳がございまして、昨日からわたくしの大切なモンベルの寝袋が使用停止状態にあります(帰国後理由を改めて追記する予定です)
今夜は絶対寒い!わたしは耐えられるんだろうか…風邪ひいてる暇なんかないのに…
そしてこのアルベルゲ、実は不思議な噂がございます
[キッチンはあるのに、機材器具は全くない]
それってキッチンって言わなくない⁉︎機材や器具があるからキッチンだけど、ないならただの空間じゃん…
そう思うべ?
あり得たの…ピカピカのシンクとIHコンロと不揃いなグラスが数個にお皿が1枚
鍋もレンジもフォークもナシ!
どないせぃちゅうねん!Σ(゚д゚lll)
「ペリグリーノはトマトでも洗ってかじりついとけ!」
ってことなんでしょうよ!(もしくはもれなくバルで食べろってことですね)
さて、わたしはどうしたと思いますか?
すべての棚をムダと知りつつ漁った結果大変使い勝手の悪そうなフライパンを見つけ出しました
そして持ち歩いていた水を加えるだけで作れるインスタントパスタを作りました٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
そして世界中をひとりで旅してる本物バックパッカーのお姉さんと大学生で内定が決まった勝ち組イケメンくん(どちらも日本人)と夜ごはんを食べました
パスタの他に、絶対食べたくて買ったけど、絶対ひとりで食べきれないアーモンドケーキをふたりに無理矢理食べてもらいました( ♡ ´罒` ♡ )
日本語でたわいない話やカミーノ話をできる幸せん噛み締めました
その後イケメンくんが
「絶対夕陽見たいんすよー、でも眠い…」
と言っていたので普段は見ない夕陽をなんとなくお外で見てました
その際突然聞きたくなったナッシングバットストリングスの曲を聴きながら、久しぶりにブレイン ストーミングして自分の頭の中身を出してみました
幸せだなぁってしみじみ思いました
その後、周りの寝息で暖まった部屋でぬくぬくと眠り風邪はひきませんでした(笑)ドミトリーのいいところだね!
32日目 このアルベルゲは好きだ♪( ´▽`)
たくさんのらぶらぶカップルがふたりの愛を永遠に願い、もしくは確信して歩くカミーノ
歩きながらちゅっちゅ
激しい坂道も手を繋げば怖くない!
街中でも激しくハグ
いいですよ、大いに愛を育むがいいさ
しかしだ
消灯時間を過ぎたアルベルゲのベッドではちょっと遠慮願いたい…
ひがみとか云々じゃなくて、単純に煩い
安っい古っい2段ベッドで、寝返り打つ音すら部屋中に響くのに、らぶらぶごろごろしないで、頼むから…
昨夜はスペイン人の若いカップルが24時近くまでらぶらぶごろごろちゅっちゅしてた為、同室の他5人は寝不足です…
スペイン人のおじさんが煩いぞ!と注意してくれたのに、彼氏のほうが
「ごめんね、もうちょっとだけ♪うちの彼女可愛すぎ( *´艸`)」
とのたまいます(たぶん)
電気つけるぞ(▼Д▼#)
その後彼氏が彼女の可愛さに満足したらしくようやくお開きに
自分のベッド(彼女の上のベッド)に戻ったかと思ったら…激しいイビキ…
可愛い顔してあんたすごいね(苦笑)
わたしの上のベッドの男の子は何度も大きなため息や咳払い、しまいには舌打ちをしてました(笑)
アルベルゲならではですね(笑)
翌朝、寝不足の頭と疲労が残る身体をなんとか起こして、カップル以外のメンバーはどんよりした顔での出発になりました(彼氏はルンルンでした)
今日カミーノ最後の難関セブレイロ峠の麓の村、ベガ デ バルカルセに来ました
途中バル休憩の際にメキシコ人のマルティンとそのお友達イタリア人の(……なんかね、長い名前だったの…忘れた…)と少しお話しました
オラ♪と声をかけたところ、テンション高くてルンルンのマルティンは
「え、君はスペイン人なの?♪( ´▽`)」
と聞かれました
まぁね、見た目じゃナショナリティはわからんよね
「日本人だよー♪( ´▽`)」
と言うと、お決まりとなった
「え⁉︎日本人!カミーノで初めてみたよ!君はひとりで歩いてるの?他の日本人には会ったの?」
と質問攻めに(笑)
そしてどこから歩いてるかと聞かれたので、サンジャンと答えると
「えーー‼︎‼︎それってフランスだよね⁉︎フランスから歩いてるの⁉︎⁉︎」
と激しくびっくりされました(笑)
ここ2〜3日サンジャンと言うと本当にびっくりされます
マルティンにどこから歩いてるのか聞いたところ
「ヴィジャフランカだよ!(๑´ڡ`๑)」
とドヤ顔(笑)今日がカミーノ初日だそうです
その後も少しお話して、お友達のイタリア人さんは無口な方で聞き役に徹していました(やっぱり同じイタリア人でも誰かさんとは違うもんですね)
マルティンはもっとお話したいね!またね!とぶんぶん手を振ってブエン カミーノしてくれました
その後歩きながらオーストラリアから来たグループ(お友達同士のご夫婦2組)とも少しお話しました
こちらもヴィジャフランカから歩いてるそうで、サンジャンと言ってもむしろ通じませんでした…
そしてお昼前にバルカルセに着いていつも通り公営アルベルゲに向かいました
はっきり申し上げて、あれはないわぁ…
っな感じだったので、さっさと退散
素敵な看板の私営アルベルゲにも行ってみましたが…なんかダメっぽい
その後地図アプリでなんとなく名前が気になったアルベルゲに向かい、まぁ、いっかとそこに泊まることに
オープンまで時間もあったので、先にスーパーでお買い物してオープンを待っていると、美人フランス人親子(おばあちゃん、おばさん、お母さん、ロゥ)が来ました
そしてわたしと同じくらいの歳のロゥにランチに誘われて、アルベルゲの庭のテーブルで近所のパン屋さんで買った野菜のパイを頂きました♪( ´▽`)
ロゥとお母さんは少し英語を話せるようでおばあちゃん達に通訳してくれました
その後もロゥと少しお話して
「さりあはとてもbraveね。とても強いと思う!尊敬するわ。わたしがあなたならきっと出来ない」
と言われました
わたしは端から見るとtoughでbraveでstrongなんでしょうか…
怖がりで泣き虫で自分が何をすべきかもわからなくて日本から、現実から逃げてきたわたしは決して強くないと思うんです
でもそれを英語でうまく伝えることが出来なくて…きっとみんな誤解してるんだわ…
今日もアルベルゲは見た目こそ、スペイン古民家風ですが、中は最近改装したらしく、全てが新しく清潔でベッドも軋まないし、わたしは大変気に入りました( ♡ ´罒` ♡ )
そしてなによりオスピタレロがやってる家庭菜園の新鮮野菜を食べることができます(有料)
夜は採れたてピーマン(日本のパプリカの2倍の大きさ)とスペインサラミをレンジでチンして粉チーズをかけた、さりあ風無限ピーマンを作って食べました
幸せだったぁ…
明日は標高1400m級の峠に登ります
頑張る‼︎
31日目 パンがないならケーキを食べればいいじゃない
昨日のポンフェラーダから24キロ歩いてヴィジャフランカにやって来ました
昨日の祝日の影響かバルが全然歩いてなくて、2時間近く歩いてようやくカカベロスというとってもとっても可愛い街のホテル兼バルというところで朝ごはんを食べました
カカベロスは本当にどこを見ても可愛くて、清潔感があるんです!次はカカベロスに泊まろう
ところで今日のタイトルはかの有名なフランス王妃のセリフとして知られてますが、最近の歴史学の見解では彼女ではなく別の貴婦人の発言であるというのが有力らしいですね
わたしはお恥ずかしながらこの「ケーキ」というのは生クリームやチョコレートやカスタードクリームたっぷりのフレッシュケーキだと思っていまして、「そんなのごはんの代わりになるわけないじゃん!この偏食さんめ!( ゚Д゚)」と思っていたんです(恥)
しかしスペインにきてわかりました
スペイン人はごはんとしてケーキを食べます!
イメージとしてはスポンジケーキとかマフィンとか、そんな感じのベイクドケーキです
そしてスペイン人は結構激しく甘党だと思う
スイーツはなに食べても甘いっ!よってごはんとしてのケーキも砂糖たっぷり!チョコもたっぷり!
ホットチョコに揚げたてチュロスをのれそれ付けて食べるのも朝ごはんとして人気です
スペイン生活も長くなりましたので、わたしもバナナケーキを朝ごはんにしました!(本当はバルのパンが切れててケーキしかないと言われたから)
美味しくて幸せだった( ♡ ´罒` ♡ )
その後はぶどう畑の中をのんびり歩きます
たとえ食べれなくても麦畑よりぶどう畑の中を歩く方が好きです
20人近い人数で収穫してる光景も見ました
鳥の声を聞きながら、ヤモリが横切るのを見守って、野うさぎと対峙して、少しだけ帰ったらなにをするかを考えました
ヴィジャフランカは坂道の多い街です
スーパーに行くのも一苦労です(笑)それでもビーチサンダルで、ペタペタと石畳や巡礼者の足裏マッサージ効果を狙った石を埋め込んだでこぼこ道を歩くのは気持ちがよくて、まるで地元の人になった気分になります
日本ですら外に出ることを怖がっていたわたしが遠く離れたスペインで、ひとりすっぴんにビーチサンダルで街歩きです
人は変わるものですね
30日目 ミントホリック
昨日のアルベルゲは大きな街、ポンフェラーダの手前のモリナセカという街でとっても空いていました
30人泊まれるアルベルゲにわたしの他おじさん3人の4人ぽっちでした٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
わたしはこのアルベルゲに泊まる理由があったので、割と早い時間ではありますがここに入りくつろいでいまして、残りのおじさん達が来たのは17時過ぎ
かなり歩いたようで皆さんへろへろでした
ここに泊まった理由、それは生木観音像(いききかんのんぞう)を見る為です
こちらは日西交流400年及び四国霊場開創1200年を記念して、2014年に香川県の仏師 凡海さんが3ヶ月間このアルベルゲに泊まり込み、アルベルゲの庭に植えられている生きた木(枇杷かな?実がなってました)に彫り込んだものなのです
2014年に完成しているこちらの観音像
たった2年であちこち亀裂が入り、一部にはカビと思われる黒ずみがあります
これを「劣化」ととるか、「生命の方舟」ととるか…
実はわたし、去年のこの観音像の様子を写真ではありますが見てるんです
うちのママンとパパンが去年のシルバーウィークに所謂「バス巡礼 バスで周るスペイン巡礼!ラスト100キロはちょぴっと歩いちゃうぞ!by日本のツアー会社」に参加してこちらのアルベルゲに立ち寄ったそうなんです(あくまで立ち寄っただけで宿泊はホテルです!日本のツアー会社がアルベルゲに泊めるはずがない!)
ママンとパパンの宿題のひとつ
☆生木観音像がどうなってるのか見てきて!
というものがありました
皆さんも気になりますよね?だって生きてる木に彫り込んで今後どうなるの?って
例えば人間の身体にお絵描きする方、タトゥーや刺青を入れる方は世界中にたくさんいます
あれだって体重の変化や老化で随分変わるそうです
そんなわけでやってきましたよ、わたしが!
どうですか
ママンの写真で見た観音像は日本のお寺などにある新品の観音像のように白木で美しいものでした
「美しい木目と艶やかな彫りが生み出す完成された美」がそこにありました
では、今の観音像は…
全体的に色はくすみ、たくさんの亀裂が入り、あまつさえお顔にカビまで生えています
きっとお手入れなどはされてないのではないかと思われます
でもわたしは美しいなぁと思いました
はっきり言って、この木からしたらこの観音像は人間が勝手につけた傷であり、刺青です
痛かったでしょうよ…
それでもこの木は枯れることなく、負けることなく、枝に青い葉を広げ、たくさんの実を結んでいます
じっと見ていると幹を登るアリや小さな虫達が観音像の手や顔を踏み場にしています
この木が小さな宇宙となって生命を繋いでいるんですね
この木に彫られた観音様は一体なにを思っているでしょう
今後この観音像がどんな風に変化していくのか、どれほどたくさんの巡礼者を見守るのか、楽しみなところですね
そして今日はすぐ隣街のポンフェラーダまで8キロ歩きました
ポンフェラーダは大きな街なので必要物資を調達しようと、張り切ってショッピングモールに行きました!欲しい物がいっぱいです!
入り口に10時オープンと案内が書いてあり、現在11時!暗い!お店がみんな暗くて閉まってる!
日本のショッピングモールとは違い、それぞれのテナントにシャッターが付いてて、モールそのものには入れました
セグウェイに乗り颯爽と風を切る警備員さんを捕まえ、今日はお休みなのかと聞いてみると、なんと今日明日は休みで何処も開かないよと言われました( ゚Д゚)
なにも今日でなくとも…
仕方なく、地図アプリで近場の(と言っても2キロ近く離れてる)スーパーに向かいますが、閉まってます…
え、ポンフェラーダ…破綻でもしたの?
本気で心配になっていると、開いてるお店を見つけました
我らが救世主!マックさん!!( ´ ▽ ` )ノ
例によって入り口をなんとか探し出し(わかりにくいんだよ!)濃いぃ顔のクルーに
「ん〜…そうね、今日はとりあえずいつもの」( ⁼̴̶̤̀ω⁼̴̶̤́ )
と前回撮っておいたフラペチーノの写真を見せます
12時近いのにメニューは朝マックです…スペインの朝って長いねぇ(笑)
ゆっくりフラペチーノを堪能して、ブルゴスとの味の違いを分別してからチラッとメニューを見ると昼のメニューになっていたので、紫色のタマネギが挟まってるバーガーをテイクアウトで注文
「あの…このスーパーって今日開いてます?」( ˘•ω•˘ )
濃いぃクルーに地図アプリを見せつつ聞いてみると
「今日はポンフェラーダ中の店が休みなんだよ。残念だけど、やってないね。今日開いてるのはバルとレストランとマックだけさ」( • ̀ω ⁃᷄)✧キリッ
と教えてくれました
どうやら何処かの誰かがポンフェラーダにケンカを売ったわけでも、経済破綻したわけでもないようなので一安心です
仕方ないので今夜のホテルに向かいます
バル兼レストラン兼カフェ兼ホテル
という大層な看板を掲げたホテルです
しかしホテルのレセプションは閉まっていて、バルのマスターに予約してると英語で言うと奥から綺麗なお姉さんが飛んで来ました
お姉さんはスペイン訛りの強い、しかしとても丁寧に英語を話してくれました
お互いの目を見ながらゆっくりとお互いの意思を伝えます
どうやら今日明日はポンフェラーダの祝日でイベントがあるらしく、バルやらレストランが大変忙しいそうです
夕食をここで食べれるかと聞くと、とても嬉しいが席が予約でいっぱいだと言われました
確かにすっごく忙しそうで、席がいっぱいで立ち飲みしてる人が外にまで溢れるほどです
お姉さんも忙しいらしく、ゆっくりわたしに構ってる暇はないという感じでした
しかしこのお姉さんしか英語が話せないらしく、なにかあったら呼んでねと言われましたが、名前を聞く前に風に乗って行ってしまいました
その後会計を今日中にと言われたので、バルに降りるがお姉さんは不在だし、部屋の鍵が開かない、Wi-Fiのパスワードを教えて、など何度もバルに通いました…Wi-Fiのパスワードは教えてもらったものはどうやら間違っていたようで全然接続できませんでした…でももう面倒くさいし、みんなすっごく忙しそうなのは見てとれるのでそれ以上は行きませんでした
とりあえずママンにはポンフェラーダに着いたとマックからメールしてたのでいいかなって
その後部屋の湯船にミントオイルを垂らした即席自称漢方風呂に入り、ベッドバグの痒みを鎮めるよう努めました
昔北海道のとある温泉施設で入った漢方風呂に入りたいなぁとずっと思っていたのです。でもここはスペイン
そもそも温泉がない!だからといってなにもしないのもなぁと、ホームでなくともできることはあるはずだと、あまり有能ではない知恵を絞り考えついた答えがミント風呂!
ミントには痒み、痛みを和らげる効果があると聞いたことを思い出しました
尚且つ、虫除け、消毒の効能もあります
今のわたしにぴったり!そしてなによりミントホリックのわたしはミントオイルを持ち歩いております٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
ミント風呂は素晴らしい!どんな熱いお湯を入れてもひや〜んとします(笑)おかげで痒みは落ち着いて正気を取り戻すことができました
とはいえ、インドネシアで一晩に両手両足30箇所ずつ刺された時に比べたら大したことない痒みではあります(痒みそのものは)
きっと大丈夫
あと200キロ
29日目 油断大敵です
今朝は真っ暗なうちからカミーノの難所のひとつ、イラゴ峠にアタックしました
久しぶりの登山です
鬱蒼とした木々の合間をヘッドライトの灯りのみで進むこのスリル!
遠くで獣の咆哮のようなものも聞こえます
わたしもニコラのように昨日のうちに登ったほうがよかったかも…出発10分で昨日の自分を恨みます
しかし…昨日のわたしにここを越える力はなかった…それは紛れもない事実です
イラゴ峠は霧がかかることで有名な所で、霧が深くなると巡礼者を導く為の鐘が突かれることもあります
確かにスペインにきて初めて空気が湿ってると感じました
ニコラが泊まったであろう村まで5キロの道のりを1時間40分かけて歩きました
山道だったこともあり、予定よりかなり遅れてます
開いたばかりであろうバルで朝ごはんを食べ出発します
登山は久しぶりで粘つくような疲労感をどことなく感じていたわたしは少し不安でしたが、ピレネーに比べればなんてことないハイキングです!
やっぱりピレネー越えててよかった
きっと今後の人生で何度も思うでしょうね、「ピレネーに比べれば!」って
標高が高いと涼しいイメージですが、イラゴ峠は暑い!太陽が近い分本当に暑い!
普段バルでの休憩は1日1度程度なのですが、今日は3回とりました
水分とビタミン補給とトイレを兼ねて
イラゴ峠では鉄の十字架がわたし達を待っています
商業の守護神 マーキュリーさんの為の十字架だそうで、十字架の足元?にはたくさんの石があり、十字架にはたくさんのブレスレットや手紙や写真が括り付けられていました
我が家にも商人がおりますし、わたしももしかしたら今後商売を始めるかもしれないということで今の想いを認め置いてきました
途中の青空バルで知らないおじさんと相席してオレンジジュースを飲んでいると、小さくとっても可愛い女の子と語らうニコラを見かけました
わたしの前でしていた「とっても可愛い笑顔」ではなく、モデルさんみたいなカッコいい顔でした
なるほど…あれがニコラの男の顔か…
邪魔しても悪いしと声を掛けずに見送り、歩き出します
峠は登ったら下らなければなりません…
あんなに必死こいて登ったのに…
激しい砂利道(スペインの砂利は基本こぶし大の石ころが敷かれてます)を慎重に慎重に進みます
下り坂でただでさえ膝軟骨をガリゴリ磨り減らされるのに、そこにプラスされるこの砂利!
もし万が一、ここで転んでケガでもしたらわたしは帰らなきゃいけない…その思いが足に力とアドレナリンを送り込みます
帰りたくないんです
歩き切りたいんです
少しくらい痛くても、少しくらい南京虫に刺されても(本当はかなり刺されてます)今は帰りたくない
全部中途半端で投げ出して、誰かのせいにして、逃げて、隠れて
わたしはそうやって生きてきた
そんなのもうイヤで、逃げるのも隠れるのも、もう本当にイヤで
まっすぐ生きたい
「まっすぐ生きない人はまっすぐ愛してもらえない」
わたしが言った言葉なのに、わたしはまっすぐ生きてない…
たかだか800キロ歩いた程度で、信仰もしてない宗教の巡礼路を歩いた程度で、とある外国を横断した程度で「まっすぐ生きる」ことにはならないかもしれない
でもきっと糧となるはずだし、自信になるはずだし、きっと歩き切ったら、ひとつのことを成し遂げたと自分を赦せるかもしれない
だから歩きたい
だから転んでなんかいられない
しっかり自分の足で大地を掴んで一歩一歩踏み出さなきゃいけない
足を動かす為に食べなきゃいけない
身体を循環させる為に飲まなきゃいけない
ちゃんとわかってるし、自分なりに折り合いつけてやってるつもりでもやっぱりホームでないと難しいことはたくさんあるものですね(笑)
大自然の中のちっぽけなちっぽけな自分を噛み締めながら歩いているの後ろから聞き覚えのある声でわたしを呼ぶ人がいました
「さりあ♥️さりあはいつも早起きだね!歩くのも早いし、すごいや!」
可愛いニコラです!
そうなんです、スペイン来てから早起きできるようになったんです!
日本だと遊びに行く日しか起きれなかったのに(笑)このまま死ぬまで早起きし続けることをヤコブさんと約束しました!
歩きながら可愛いニコラと少しお話しました
10m先をさっきの可愛い女の子が走るように歩きながらこっちを睨んでいます
ニコラは今日もわたしより先の街まで進むこと、余り時間が取れなかったから17日にはイタリアに帰らなきゃいけないこと、それでもフィステーラ(世界の果てと呼ばれるサンチャゴの先の街)までバスではあるけど行くつもりであることを話してくれました
17日に帰るってことはわたしより早くサンチャゴに着かなきゃいけないってことで、尚且つフィステーラまで行くってことは…ナンパしてるヒマないじゃん💦
そして今日もしっかりイタリア仕込みの魔性を炸裂させながら睨んでいる可愛い女の子の元に走って行きました
そして歩きながら気づきました
わたしがニコラから得る物は、その心臓を鷲掴みにするほどのまっすぐな可愛さと積極性だと!
「話掛けられて答えることはできるようになったろ、今度は自分から行ってみろ!」
ヤコブさんがそう言ってる気がしました
そんなわけで少し実践しました
道端でなにやらしゃがみ込むおじさんを見つけたので、大丈夫ですか?と話し掛けてみました
おじさんはスペインの方らしく、スペイン語で太もも痛くてねぇと笑ってました
大丈夫だから行きなとジェスチャーで言われブエン カミーノでお別れしました
その後足が痛いはずのおじさんに追い越され、その際もスペイン語と日本語で少しお話しました
別れ際にキャンディを貰いました
自分から話かけるなんて、大きな一歩です!
その後も教会に来ていたフランス語のマダムが4枚のクレデンシャルに次々とスタンプを押す様を見たので(セルフスタンプもたまにあります)
「たくさんクレデンシャルをお持ちですね。4枚ですか?」と話し掛けてみました
「4人で歩いてるのよ♪みんな外で休憩してるからわたしが代わりにね」とお友達を紹介してくれました
サンチャゴに近づくにつれ、いろんな地点をスタートに選ぶ方が増えると昨日も書きましたが、その分「仲間」意識は少し薄れてきます
挨拶を返してくれない人や、無言で通り過ぎる人は増えました
今日のイラゴ峠はバスツアーでも少し歩く所のようで何台ものバスから降りてくるバス巡礼者がたくさんいました
オシャレで小さなショルダーバッグで颯爽を歩く彼らに挨拶したのですが、返してくれる人はいませんでした
むしろびっくりされてしまいました(笑)
サンジャンに近い頃はみんな「仲間」でみんなで助け合わなきゃね!という空気だったのになぁとここ2、3日感じてます
だからこそ、ちょっとした会話が嬉しく思えるんですね、きっと
たくさんのお手本をもらって来たので、これからはわたしも残り僅かとはなりましたが、精一杯話し掛けてみたいなと思っております
心配かけたくないと言いつつ、つい油断していらぬことまで報告してしまったことを深く後悔してます
今日もカンカン照りなので寝袋にミントスプレーをかけて天日干ししてみました
これで少しはマシになるかな?
いろいろ考えて対策してみます(南京虫対策です)
見上げても君の顔は見えないが 君の名前を星で描くよ
たくさんの教会に立ち寄って、わたしのコミュニケーション能力が届いていないか見て回りましたがどこにもありませんでした
ただ、最近「友達」とは違うのかもしれませんが「仲間」と思えた人達、「また話したい、また会いたい」と思える人達と出逢うことが出来ました
拙いながらの会話やなかなか出来ない体験や街中での激しいハグを通じて確かにわたしの心は響いていました
同じ道を歩く人達がわたしに少しずつ少しずつ、金平糖のように甘くキラキラ光るコミュニケーション能力をわけてくれたんだと思います
きっと本人達は気づいてないでしょうね(笑)
でも確かにわたしは受け取ったと思うの
いまだわたしはわたし自身を赦すには至っていないけど、みんなわたしを褒めてくれた
たくさんの笑顔と素晴らしい言葉をもらった
あと2週間
どうか無事に辿り着けますように
もし可能ならまたあの人達に会えますように
28日目 いろんな巡礼 いろんな巡礼者
消灯時間が過ぎてから部屋に戻ってきた可愛いニコラはヘッドライトの灯りを頼りになにやら絵を描いてるふうでした(すでにベッドでうとうとしていたわたし)
たまにため息をつきつつ描き続けるニコラ、わたしは久しぶりに鉛筆を滑らす音を聞いていました
使いこなれてる彼のバックパックは彼と一体どこに行って来たのだろう
たくさんの絵を描いてきたのだろうか…
わたしが寝返りを打つ度に隣のベッドの住人がビクッとしてる気配、少しでも彼の寝息が聞こえてくるとまたビクッとしてる気配を感じ続け、ようやく朝5時
わたしの起床時間となりました
あのね、可愛いニコラ、寝なさい
気になるでしょ!
たぶんニコラたんはあんまり寝てないと思う(笑)
それでよくカミーノ歩けてるよね
わたしが顔を洗いにそっとドアノブに手をかけると
「ふにゃ…さりあ?おきたの?」
と小さな子どものように聞きます
「うん。でもまだ5時だから寝てな」(イタリアの方は朝はわりとゆっくりの方が多いです)
というと
「うん…ありがと…あっ…ぐっもーにん…」
と…はぁ…この子可愛い…
そして敢えてゆっくり顔を洗い、トイレを済ませ、C3fitちゃんを装着して、キッチンに行ってご自由にどうぞのハムをつまんで部屋に戻ると…
大変くつろいだ体勢で健やかに寝息を立てるニコラたん(笑)
ねぇ、そんなにわたしとふたりだと寝れないの?うるさかったの?ごめんね(笑)
起こさないように静かに荷物を廊下に移動させて、日本から持って来ている浮世絵が描かれた折り紙で鶴を折りました
そしてニコラのバックパックの上にそっと置いてきました(ニコラたんは大変無防備で、バックパックの中の男の子な本も丸見えだし、お財布はバックパックの上に乗せたまま寝ていました)
部屋を出る際、むにゃむにゃ言ってるニコラに小さな声でブエン カミーノと言うと、寝ぼけながらもとびきりの笑顔でブエン カミーノと言ってくれました
ニコラとの別れを大変嘆きながら歩き始めたら、アルベルゲの5段ほどの外階段から落ちました…ケガとかはないです
全ては可愛すぎるニコラを創り出した神が悪い!
そんな感じで歩き始め、1時間歩いた次の街でバルに寄って朝ごはんを食べました
食パン大のデニッシュ生地のクロワッサンを上下半分にして、日本の2倍の大きさのハムを2枚と、チーズを1枚挟んで、上からアプリコットジャムを薄く塗ったハムサンドを食べました
美味しかったぁ…デニッシュ生地のクロワッサンだよ!そこにアプリコットジャムだよ!このオシャレな味!
こっちのサンドイッチは基本的に調味料使ってないので、素材の味が本当に引き立つんです
帰ったらレレちゃんに作ってあげよう( ♡ ´罒` ♡ )
今日の街、ラバナル デル カミーノに着いてブラブラしてると向こうから
「さりあぁー!♥️」
と爽やかイケメン風のシルエットが走ってきます
可愛い可愛いニコラです!バックパック背負って走るってすっごく大変なのに!もう!可愛い子!!
丸いオシャレサングラスに白いオシャレハットに白いTシャツとハーフチノパン
汗だくで、少しタバコの匂いのするパッと見イケメンの、可愛いニコラです!
「あのね!朝起きたらさりあがいなくて、すっごく悲しかったの…でもね、僕のバックパックの上に素晴らしい贈り物があってね!感動したの!これはきっとさりあだって!!
さりあありがとう!大好きだよ!会えてよかった!さりあぁ!」
と激しくハグされました
やっぱり寝ぼけてたのね(笑)
きっとこの人は黙って立っていればどこぞのハイブランドのモデルさんにもなれるんだろうけど、口を開くと本当に可愛いの( ♡ ´罒` ♡ )
ついついなんかしてあげたくなるっていうか…これがイタリア人の持つ魔性なんだろうね
可愛いニコラは次の街まで行くと言うのできっとこれでお別れです
なんだったら着いて行きたいところですが、すでに14時でものすごく暑いのに更にこれから標高300mも高くなる峠の上まで行くなんて…わたしには正気の沙汰とは思えないので残念ながら見送りました
「さりあと出逢えてとっても幸せだよ!君は僕の宝物だよ!」
とイタリア仕込みの素晴らしい御言葉を賜りましてわたくしも身に余る幸福に眩暈がしそうな午後のひとときでした
育ちがいいんだろうなぁ…うちのレレちゃんもそんな風に見えるのかしら…
巡礼者はいろんな人がいるんです
それこそ世界中から毎日たくさんのたくさんの人がこのカミーノにやってきます
30〜60Lのバックパックを背負ってトレッキングシューズで歩くのが一般的なスタイルです
半数くらいの人がトレッキングポールを使用しています
しかし人によってはバックパックを背負っていない人もいます
小さなサブバックパックのみで歩くその人達は郵便局や専門のポーターさんに1日5〜15€で次のアルベルゲまで重いメインバッグを運んでもらっています
マフィアママンも毎日郵便局に依頼してました(アルベルゲで手続きできます)
そして靴はわたしはトレッキングシューズで歩き、アルベルゲとスーパーまで行く分にはビーチサンダルを使用しますが、ここも人によって様々です
タウン用のナイキやアディダスのスニーカーや、ジョギングシューズで歩く人、ツッカケタイプではなくマジックテープで着脱するタイプのサンダルで歩く人もいます
トレッキングシューズ、タウンスニーカー、サンダルを使い分けてる人も結構います
服装は比較的みんなスポーティですが、1度「女子会に行きます♪」的なブラウスとスカートにゆるふわヘアで歩くぽっちゃりさん2人組を見かけました
スカートで歩く女性はたまにいます
その多くがご主人と一緒だったり、彼氏と一緒に歩いてます
その方達はゆるふわヘアにばっちりナチュラルメイクで、大きなバックパックを背負っていました
お化粧して歩く女性は7割を越えます
レストディ以外すっぴんで過ごすわたしはむしろレアな存在です
わたしが毎日愛用している愛しのC3fitちゃんのようなコンプレッションタイツを使用してる人はほぼいません
わたしが今まで見たのは台湾人男性とソフィアくらいです(ソフィアのはコンプレッションタイツとは言えないような気もするけど)
1度シスターが歩いているのを見ました
なぜわかったかと言うと、あのシスターの格好のまま歩いていたから!
この暑い中フリースの帽子を被り汗だくで歩く不思議なおじさんもいました
年齢も様々です
最年少は0歳です
お母さんに抱かれてのカミーノです(5人兄弟の末っ子で、両親と5人の子ども達とワゴン車でのカミーノです)
アンドレのように高齢でもカミーノを歩いてる人はたくさんいます
年齢も格好も母語もナショナリティもセクシャリティも信じるものも違うたくさんの人が同じ教会を目指して歩きます
カミーノを話される言語の多さからバベルの塔と表現することもあるそうです
重いバックパックを背負わない巡礼者を快く思わない人もいます
バスを使う巡礼者を笑う人もいます
SNSを使う巡礼者を納得しない人もいます
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面を速く走れない。
私が体をゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴る鈴は私のように、
たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。[金子みすゞ]
そうみんな違ってみんないい
わたしはバックパックを背負いたいから背負い、自分の足で大地を踏みしめたいから歩き、日本の家族や友人にわたしの見聞きしたものや無事を伝えたいからブログを書きます
全てわたしが選び、わたしが好きでやってること
ここは基本的に他の巡礼者やオスピタレロや地元民に迷惑をかけなければ自由なところです
納得出来ない理由もわかる
でも快適に自分に見合った巡礼をするのも当然の権利だとわたしは思う
これは「巡礼」とは言えないのかもしれない
むしろ「巡拝」と表現したほうが適切ではある気もする
でもきっとヤコブさんは「どっちでもいいよ♪( ´▽`)」と言ってくれる気がする
ここまで歩いてくるとスタート地点にもバラエティが飛んだ答えが返ってきます
サンジャンピエドポーはむしろ半数になり、ログローニョやレオンという答えが多くなります
スタート地点も自分の予定や体力に合わせて選ぶことのできるこの素晴らしい旅をひとつの選択肢として捉えることに意味があるんだと思うようになった、29歳の夏です