一歩のその先に

コミュ症のヘタレアラサーがスペイン、サンチャゴ巡礼に行ってきます! きっと行ける!きっと辿りつける!きっと乗継ぎだって無事にできるはず!

16日目 トイレからの生還と新たな出会い

ブルゴスから麦畑の中を歩いて小さな村、オルニージョスに来ました

アルベルゲは4件、村人は100人いるのかな?ってくらい小さな村で、コンビニという名の個人商店がひとつあるような所です
 
その途中で寄ったバルで韓国人のマダムに会いました
とてもフレンドリーな方で韓国語でガンガン話しかけられまして、全くわからないもので思わず日本語で「ごめんなさい、全然わかんない( ˘•ω•˘ )」と言うと「ジャパン⁉︎」と驚かれました(笑)
マダムは日本語も英語もほとんどわからないらしく、それでも並んでカフェコンレチェを飲みました
 
そのバルでトイレを借りた時です
中に入ってドアを後手に閉めてから、違和感を覚えて振り返るとドアノブがない…
うん、びっくりだ…
とりあえず済ませることを済ませ、自分なりにいろいろしますが、開きません…
「マジっすか?(笑)なんだこのハプニングは(笑)」思わず溢れる笑いと日本語
先ほど店内にはわたしと寝起き感丸出しのバルのママさんしかいませんでした(韓国マダムはテラス席に移動してフライドポテトを食べてました)試しにドアをダンダンと叩いてみると…
「どうした⁉︎(ぽい感じでなんか言ってた)」とイケメン消防士(ぽいズボン?を履いた人)がドアを開けてくれました!
あぁ…イケメンは正義だ(〃艸〃)♡ 
ありがとうとお礼を言うとハハハと爽やかに笑って自分のコンレチェのところに戻って行きました
バックパックを背負い、準備を整えもう一度すぐそばにいた恩人のイケメン消防士に「ムチャス グラシアス(どうもありがとう)」と言うとウインクされました
あのね、日本男子はあんまりウインクってしないけど、こっちにくると皆さんお上手にウインクするんですよ!しかも頻繁に
さすがですよね
きっとオムツを外す頃から特訓を受けるんだよ
そして面食いのわたしは日々美男美女に囲まれる生活の中、その美意識を高め続けるのでした…
 
12時頃に着いて教会脇の小さな公営アルベルゲに泊まることにしました
昨日、一昨日と出費が多かったので節約しなきゃいけません💦
今日のアルベルゲは5€、Wi-Fiはありません!(笑)
シャワーを浴びて洗濯して、ベッドに横になるとあっという間に眠っていました…3時頃お腹が空いて目が覚めて、歩いて1分のところにあるバルに行きました
今日はとうとうタパスデビューか⁉︎と意気込んで行くと店の外にパエリャの写真と説明があります
すると…日本語でも説明が書いてるじゃありませんか!!
店に入るとお昼ご飯のメヌーを食べに来ていた巡礼者が奥のほうでひしめき合っております
しかし、手前のカウンターの近くはひとつテーブルが空いていて、そこに陣取ることに
タパスは全然並んでなくて、やっぱりここはパエリャか!ということで、バレンシア風パエリャなる物を注文しました
インゲン豆とチキンのパエリャです
2合くらいでかなりボリュームがありました
 
でも大好きな米ですよ、米!
もちろんぺろりです(๑´ڡ`๑)
 
お会計をした際、カウンターのお姉さんに「これ好き?」と聞かれ、笑顔で「大好き!」と言うと大喜びしてました(笑)なんで聞いたんだろ…ひとりで食べちゃったからかな?
 
さりあ家でもわたしを始め家族みんなスペイン料理が好きなので、よくパエリャやタコのパプリカ炒めを作ります
以前はよくにんにくスープ(アフォのスープ)も作ってました
月に1〜2回の割合で食卓に上るのはわたし流パエリャ
米から炊くこともあるし、冷やご飯を利用することもございます
パエリャは簡単美味しくて、見た目も華やかなので大好きです!本当は週1くらいの間隔で食べたい!
お家に帰ったら豆のパエリャをレレちゃんに作ってあげよう(๑´ڡ`๑)
きっとその頃は畑の枝豆が収穫時期だから枝豆のパエリャかなぁ♪
 
そして今日のアルベルゲで30センチほど離れた隣のベッドに眠っていたスペイン人夫婦のご主人は、とても面倒見がよくて、英語も日本語も全く話せないのにわたしを気に掛けてくれます
ガンガンスペイン語で話しかけてきます(笑)身振り手振りのジェスチャーでなんとかコミュニケーションをとってます
でもこれが触れ合うということなんだなぁって思いました
「言葉が通じない」だからといって諦めちゃいけない
言語がなくとも心はある
「(たぶん)足痛いところないか?」
「(たぶん)お腹空いてないか?」
「(たぶん)カミーノ楽しんでるか?」
「(たぶん)困ったことないか?」
そんな感じで声をかけてくれます
ずいぶん遠くからも手をぶんぶん振って声をかけてくれます(笑)
マフィアのボスみたいな顔でとっても優しいおじさんです
 
きっと日本語で話しかけてもいいんだよね
困らせちゃいけないとか、どうせ伝わらないと諦めて閉ざして孤独になっていたわたしは、東京ゴッドファーザーズのホームレス達と変わらない
 
スペインのおじさんが大切なことを教えてくれました

15日目 東京ゴッドファーザーズ

そんなわけで都会的アルベルゲでのんびり起きて、今日はブルゴス観光です

イタリア人のナタリアに朝ごはんに誘われました(本当はサンドイッチを食べたけど、せっかく誘ってもらったのでコーヒーだけでも一緒したいと思って行きました)
わたしが昨日の午後にファストファッションのお店で買った安くてそこそこ街歩き用の服を着て、ちょっぴりお化粧をしてるのを見て「今日は観光なの?わたしは仕事があるから歩き続けなきゃ」といつもの茶目っ気たっぷりに言います
ということはナタリアとはここで距離が開くということ
ナタリアは2度目のカミーノで、心を指差し忘れ物をしたからまた歩くんだと言っていた
背が高くはないナタリアはそれでもやはり足は速くて一緒に並んで歩いたことはない
でも同じ道を歩く仲間としてわたしはナタリアの笑顔に救われてた
もう会えないのかな…と寂しくなった
でもいつもみんなは足が速くてわたしはその背中を見送る毎日だから、きっとこれもまたわたしのカミーノなのだなと思った
マルコもロンドン紳士もミックもナタリアもどんどんわたしを追い越して、わたしの知らないカミーノを歩いてる
その後をよちよち歩きのわたしが歩いてく
みんなが通った道
そしてまた誰かが歩く道
きっとこれが「等身大」ってこと
ナタリアと笑顔で別れ、博物館に行ってスペイン語のガイドツアーに強制参加させられ(笑)
さてと、今日のアルベルゲに行くかと炎天下の中歩いて歩いてアルベルゲに行くと「昨日別のアルベルゲに泊まった奴はバスで次の街に行きなさい。巡礼者とは歩く人のこと。歩かない巡礼者は泊めません!」との張り紙が…
なんてこったい…しかしここは都会のブルゴス
ホスタルがたくさんあります!
ナタリアにもらった地図と地図アプリをフル活用して今夜の宿を探します
歩いて歩いて歩いて…4件目でも「今日はいっぱいだよ」と言われたときはさすがに泣きべそかきました…
すると哀れに思ったオーナーが「きっと空いてるよ」と教えてくれた所に向かいました
中心地から離れてるベッドタウン的なとのろで、1部屋だけ空いてるよとようやく確保しました
4時間近く宿探しに歩いてました(笑)
ビジネスホテルのような感じで、久しぶりのひとり部屋!
郵便局に局留めの荷物を持って行き、スーパーで買い出しして、部屋に戻りエアコンをガンガンかけてiPhoneで「東京ゴッドファーザーズ」を観ました
歩いてる時になんか観たくなって、Wi-Fiが安定してる今だ!と大音量で観ました(๑´ڡ`๑)

スーパーで買ったいちごの缶詰と牛乳でいちごオレを作りながら、日本の抱える問題をコミカルに描いたこの映画をスペインで観ていると、いかに同じ言語を用いた家族間のすれ違いが悲しいことかを実感しました
他言語ならまだしも、同じ言葉を話してるのに向き合わない、向き合えない…
言葉を交わさないことで勝手に悲しみ、勝手に間違い、勘違いが加速してホームレスとなるなんて…
ちゃんと向き合わなきゃダメ
家族なんだから

14日目 ボンヌ ジュルネ

いろいろいろいろ不愉快な思いをしたアルベルゲを出発して、真っ暗な真っ暗な森の中を泣きべそかきながら歩いてブルゴスに向かいました

間も無くブルゴスというところで、「あんた日本人だろ?」とあるスペイン人男性に言われました
1発で日本人だとわかったのは彼が初めてで、なんでわかったのか聞くと「俺にスマイル&オラ♪をくれるのはアジア人は日本人だけなんだ!日本人が好きだ!最近コーリアンはいっぱいいるが、日本人は珍しいな!ブエン カミーノ!ジャパニーズガール!」(●`▽´● )ノ
「ありがと!」(○ `∇´ ○)ノ
独特の見分け方を教えてくれた熱いおじさんと国際交流してから更に歩くと、プジョーMAZDAといった車屋さんの連なる通りを歩き、でっっかいブリジストンの工場の前を通って大都市ブルゴス入りしました!
そしてさらに数分歩くと…ん?…あの看板は…もしや…あの見慣れた…黄色い…Mは…


マックだ!!!
*・゜゚・*:.。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。.:*・゜゚・*
マック、それはアメリカさんが世界に展開しているファストフードの代名詞とも言えるハンバーガー屋さん
もちろん日本の外れの外れ、我が故郷にもやたらと駐車場のデカイマックがございます
わたしはマックシェイクのチョコと、マックカフェのフラペチーノのが大の好物なんです!!
毎年夏に愛するレレちゃんとフラペチーノデートをすることを生き甲斐としていて、今年はまだ実現していなかったので心に小さなシコリを抱えておりました
レレちゃんはいないけど、ここで出会えたのは運命!足早にマックに向かいます!
オシャレな建物で入り口がどこかよくわからなくて、ガラスにへばりつきながら移動してようやく入り口を発見!
カウンターに控えるイケメンクルー達は、汗だくで血走った目をしたアジア人にギョッと慄いておりました
メニューボードからシェイクかフラペチーノを探します!しかしスペイン語!わからない!
なんぼなんでもマックとは言え、スペインだもん、スペイン語だよね( ˘•ω•˘ )

おや?これはもしや?と思うものを見つけ、イケメンに「これなに?」と聞くとジュースなんかが出てくる機械に着いたちっこいフラペチーノらしきものの写真を指差しました
それだ!ウノ!( ´ ▽ ` )ノ
イケメン達は顔を見合わせ、苦笑いしながら作ってくれました♪
ホイップを少しぷにゅってしてから、イケメンが振り返り「あんた…疲れてる?」と聞いたので、「イエス!」と元気に答えます
イケメンはホイップをぷにゅぷにゅと山盛りにしてくれました♪

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くるっと振り返り席を見ると、スペインのマックはバルさながらにおっさんだらけでびっくり
日本のマックでこんなにおっさんばっかり見たことないなぁ…所変わればってやつだなぁと、一同の注目を集めながら空いてる席を探します
なんだか可愛い色遣いの誰もいないコーナーを見つけ座りました(どうやらキッズコーナーだったみたい)
冷たくて、甘くて、この世界中で変わらない普遍的な味わい…あぁ…マックのフラペチーノだぁ♪( ´▽`)
なんでしょうね、たぶん現代人だからこういうものが染み付いてるんでしょうね
美味しく美味しく頂いて、いよいよブルゴスの中心に向かいます

さすが大都市ブルゴス
車はびゅんびゅんだし、人はいっぱいだし、大きな建物だらけです
1階がお店、2階より上はマンションという雰囲気のビルもたくさんありました
街の中心にはカテドラルと今夜のアルベルゲ、そして観光案内所があります
わたしにはどうしても観光案内所に行かなきゃならない理由があったので、シェスタの時間までには行かねばなりません!
たくさんの誘惑(ケーキ屋さんとかジェラート屋さんとか)を無視して、やっとたどり着いた案内所で、歩きながら一生懸命に考えた英語での質問を繰り出します
「シロス修道院ってどうやって行くの?( ˘•ω•˘ )」
「えっとね、それはとても難しいわ…バスを使っても3日かかるの…時間にゆとりはあるの?」
なくはないけど…3日はキツいな…
「じゃあね、わたしのオススメはこのカテドラルとこの博物館よ。ここはスペインでもブルゴスでもとっても重要な所よ。ここなら歩いて…まぁ…1キロね」
とりあえず市内の地図をもらって、重いバックパックを降ろす為にアルベルゲに向かいました
このアルベルゲは新しく都会的な建物で、清潔感もあって心地よかったです
昨夜とは本当に雲泥の差でわたしはとても快適だった!

スーパーでの食料調達も済ませ、ダイニングへ行くとよくアルベルゲで一緒になるフランス人ご夫婦がいました
「ボンソワール♪」
今日からわたしはフランス語の方にはフランス語でご挨拶することを決めていた
ご夫婦はとても嬉しそうに「ボンソワール」と返してくれました
スーパーからわたしが買ってきた黒光りするミニトマトを不思議そうに眺めてました(笑)味が濃くて美味しかったよ
ご夫婦の夕食が終わってご主人が「バイバイ♪」と言ってくれました
一生懸命練習した「ボンヌ ニュイ(おやすみなさい)を披露すると奥さんが目を輝かせて何度もボンヌ ニュイを繰り返してくれました

実は朝にアルベルゲを出発する際に一緒になった別のフランス人家族(おじいちゃん、おばあちゃん、息子、お嫁さん)の唯一英語が堪能な息子さんにも、夜のうちに何度も練習した「ボンヌ ジュルネ(よい1日を)」を言ってみました
発音が悪かったらしく、聞き返されてしまったけど、通じた時は嬉しそうに何度もメルシーと言ってくれました

言いたいことをうまく伝えられない
みんなの輪にうまく入れない
だからといってわたしは何の努力もしていなかった…初めに飛行機で一緒になったデニさんが「アリガトウ」と何度も日本語で言ってくれたのがとても嬉しかったことを思い出した
今すぐパーティガールのようにみんなの輪に入るのはムリだし、流暢にヨーロッパの言葉を話すのはムリだけど…
せめて毎日顔を合わせる人達の言語で挨拶することはムリじゃない
それが相手のナショナリティを尊重することの一歩だと思ったの
日本にいた時に思っていた薄っぺらな理念だけじゃなくて、本当にわたしが毎日出来る「相手を想うこと」をひとつずつ習得していこうと思った

同じヨーロッパとはいえ、きっと普段の生活との違いに戸惑いや遣る瀬無さを感じているのは一緒な気がした
だからこそ、自分のナショナリティを尊重してもらえたらとても嬉しく、救われる気がするの
わたしにできることはひと言ふた言の挨拶だけだけど、きっとわたしの想いは伝わってる

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13日目 それがわたしを不幸にする理由とはなり得ない

なんて日だ…(●・̆⍛・̆●)


昨日はさほど暑くもないくせにシェスタを決め込んだスーパーのおかげで水分調達が出来ませんでした…
仕方なく空っぽのペットボトル抱えて歩き出し、水飲み場で補給しました

初めて朝までぐっすり眠ったわたしは、案の定寝坊していつもより30分遅いスタートです
おかげでいつもは出発前に摘む軽食を省略してお腹はぺこぺこです

歩いて1時間の街にバルがあるはずと、むたむたと歩きました
今日は初めてスペイン風サンドイッチを食べるんだから!と意気込んで臨んだ小さな街のバルはなかなか探せず、見つけても閉まっていました…
え、今7時過ぎてますよ?

仕方なく、30分先の街まで歩きます
しかしここでも閉まってます…オープンは8時って書いてて、8時過ぎてるのに空いてない!

行動食のチョコレートが挟まったビスケットを摘みながら歩きました
その後ようやく見つけたバルで念願の15センチくらいのフランスパン?にチーズとたくさんの生ハムが挟まったサンドイッチを食べて幸せいっぱいのわたしでしたが、なんとなぁーく感じていた違和感をバルのお手洗いで思い知ることになるのです

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歯が欠けた…

マメができたとか、足をツったとか、ベッドから落ちたといったことは体験談にも多数見かけてましたので、覚悟しておりました
まさかサンドイッチで前歯が欠けるとは(笑)
確かにわたしの前歯は(まぁ、いろいろありまして)大変欠け易い物ではあるのです
ぶっちゃけ今回の旅の懸念のひとつにもなっていましたし、覚悟もしてました
これ以上欠けないようにサンドイッチは控えめにします( ˘•ω•˘ )

途中とても美しい朝焼けにうるうるしてると可愛いおじさん(おじいちゃん)3人組が歩いていました

そのうちのひとり、ミックはわりと初期の頃から顔を知ってる人でとても人懐っこい笑顔を向けてくれるお気に入りのおじいちゃんです
そのミックが朝焼けの写真を撮りながら「歳だから写真撮らないと忘れちゃうんだ!なんて美しいんだろうねぇ」とお茶目に言っていました
ふたりで並んで歩きながら「本当に綺麗だねぇ」と言うと「国はどこなの?」と聞かれ、日本だと答えると「あぁ、とても美しい国だね。とても美しい。タイには行ったことがあるんだけど、日本はまだなんだ。美しい君の国にいつか行きたいよ」と言ってくれました
自分の国を美しいと言われることがこれほど嬉しいと皆さんご存じでしたか?
「あぁ、日本かぁ、美しい国だね」とスパッと出てくるのは本当にそう思ってるから
嬉しいじゃありませんか(ノд・。)

その後おじいちゃん3人にしっかり追い越されて、『昼間でも鬱蒼と暗い深い深いオカの森』に突入です
日本にいる頃からこのオカの森はママンから何度も何度も繰り返し「迷わないようにね!天気をちゃんと確認するんだよ!ちゃんとお水持つんだよ!トイレも済ませてから行くんだよ!」とアドバイスをもらっていた難所のひとつです
わりと体験談でも、迷ったと書かれていたので結構ビビってました

うん、全然平気♪( ´▽`)
うちの地元に世界遺産になってる山があるのですが、ぶっちゃけそっちのほうが鬱蒼と暗い深い深い森でした
あそこはガイドさん無しではムリだけど、ここはイケる!道が整備されたのかな?日陰がむしろ心地いい感じでした
確かに途中にはバルがないので、水分の準備は必須ですが、歩いているうちに不思議な手書きの看板を見つけました
「この先、オアシス有り 700m」
たぶん書いてるのはこんな感じ
オアシス?イタズラかしらなんて思いながら歩いて1キロ、なんもねぇし(笑)

するとどこからともなく音楽が聞こえ、やたらと蜂が飛んでいます
確かに花のように麗しいわたしではありますが、蜜は出ません…なんで蜂が寄ってくるんだ⁉︎と思っていると…見つけました!オアシス!
青空バルといった風情で手作りの木製カウンターに果物が置かれ、人が集まり、丸太の椅子に腰掛けています
山の上なんかにたまに出張バルといった感じで車で乗りつけお店を開いてるのは何度か見たし、利用もしました
しかしなんか雰囲気違うなぁと思い、しかし暑さと喉の渇きから近くとタッパに入った大きなスイカの切身を食べなさいと渡されました
そして食べ終わるとメロンの切身
後から来た女の子も同じようにスイカとメロンをもらって食べます
そしてよく冷えたレモン味のジュースを紙コップに並々と注がれ、飲み終わると更に注がれました(笑)
見るとみんなそんな感じで飲んで食べています
ミックは音楽に合わせて踊ってます!
3€くらいかな?もっとかな?と思い、美人マスターに聞くと「ノン!」とカウンターの隅のボックスを指差します
ボナティーボ(寄付)と書かれたボックスにみんなそれぞれの感謝の気持ちを入れていました
わたしもみんなのマネして1€入れました

その後やっぱりおじいちゃん3人組に追い越されてようやく森を抜け、サン・フアン・デ・オルテガに着きました
修道院を改築して運営されているアルベルゲの隣のバルに駆け込もうとすると、おじいちゃん3人組がすぐそばにいます
するとミックが「一緒に日陰においで」とパラソルの下に呼んでくれました
自己紹介をして緑のリュックのアンドレ、青いリュックのミック、赤いリュックのダンと少しお話しました
ダンは比較的若く、優しい、とても優しい瞳をしていました
なぜかとても深い悲しみを感じさせる、その優し過ぎる瞳は、ふと手を振りほどいた人を思い出させました

4人でおじさん達が買ってくれたポテトチップスを食べながら一休みして、わたしはオープンしたアルベルゲへ、おじさん達はアルベルゲの7倍の宿代のホテルに向かいました

しかしこのアルベルゲのオスピタレロがくせ者で…わたしは2度と利用しない!
しかし他にアルベルゲもないし、ダン達のホテルは高過ぎるし…でも一緒に泊まればよかったかも…
そんなことを思いながら、予期せず手に入れることとなったホワイトチョコのお菓子を食べてます…そう、ホワイトチョコ…嫌いなのに…あのオヤジめ!しかし問題はそこじゃないの…きっと舐められてるわたしが悪いのね…

そして今日の部屋には今までで最強のイビキの主がいます(笑)
モンスターズインクのサリーみたいなおじさんで、軽いダウン症?の娘さんと歩いてる人なのですが、激しいよ
すごい…人間は寝ながらこんなに音を出せるんだと感心するくらい

歯は欠けるし、オスピタレロには舐められたけど、ミック達とお話できたし、ベッドは下をゲッドできたし…
まぁ、概ね幸せです(๑´ڡ`๑)

12日目 白い月が導く道

今日は月に向かって歩きました

出発してすぐの頃はいつも通り真っ暗
そして激しく寒い…11℃!8月だよね⁉︎
街灯も少ない小さな街だけど、月明かりが眩しくライトいらずで歩けました٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

何度か曲がり角もあったけど、麦畑の中をずっと月に向かって歩きます
後ろから太陽が追いかけてきて、ついに世界に光が満ちました
それでもわたしの前には大きく白い月が優しく道を示してくました

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巡礼中は黄色い矢印を探して歩きます
地図がなくてもとりあえず、聖地まで辿り着けるように街の中、森の中、山の中…黄色い矢印が巡礼者を導きます

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でも聖地へ着いてしまったら…
空港に行って、飛行機に乗って、ママンの待つ我が家に帰ったら…
黄色い矢印はありません
わたしはどこへ向かえばいいのだろう…
仕事も恋も全部中途半端で逃げ出して、こんな放浪生活をして(しかもスポンサー付き)…
この旅に「心の傷を癒す」なんて大層な言い訳もできないような、ただただ情けない自分は旅の果てになにを得るんだろう…

とりあえず日焼けはしたな
何年振りだろ…小学生以来かな(笑)
色白であることが絶対の条件だと思っていたあの頃
その時に比べたら確かに少し変わった
焦げたわたしも悪くない気がする

そしてスペインのスーパーで買い物ができるようになった
車輪付きの買い物カゴも引っ張れるようになった

それから…言葉はよくわかんないけど、アルベルゲに泊まれるようになったし、バルでなんとか朝食とメヌーは食べれるようになった!

そしてカミーノは丸裸にされることを知った
日本で装備していたいろんな鎧はガラガラと崩れ落ちた
実は全然話せない英語もそうだし(笑)
どんなに颯爽と格好つけて歩きたくても、等身大のスピードと歩幅でしか歩けない
どんなに「カミーノだったらすぐに友達くらい作れるわ!だってノリのいいラテン系ですもの!」なんて言ったって、やっぱりみんな生身の人間でどう接していいのかわからない

言語も体力もコミュニケーション能力も持たないわたしはそれでも歩く
この分だと「カミーノで唯一友達を作れなかった巡礼者!」という奇跡を起こしそうな勢いだけどそれでも歩く
歩いて歩いて歩いて歩いて…
そしてわたしの後にも道ができる
わたしの後を歩く巡礼者にこの道でよかったのだと安心させることはできる
そこから始めてみよう

今日は宿場町ベロラードに着きました

11日目 イケメンとにわとりとドミンゴと

日頃から風はとても爽やかなスペイン

今日はうっすら霧雨が降っておりまして、分厚い雲がラテン系太陽にシェスタを与えているので寒いです
いつもより水分が多く冷たい風が生身で歩くわたし達に絡みつきます
体感湿度40% 体感温度15℃
日本では4月頃の気温でしょうか

しかし世界中から集まったカミーノガール達は半袖のTシャツとジョギングパンツのようなショートパンツで歩いております…もちろん、靴下はくるぶし丈で、ヘルシーなそれぞれの太ももを寒空の下に惜しげもなく晒しております

夏休み時期ということで、本当に若い子が多いです
高校生、大学生かな?
きっと、この子達はあれですよね、真冬に生足でミニスカートとルーズソックスで学校に行っちゃうタイプのタフなギャル達!
おばちゃんは寒くて寒くて…コンプレッションタイツの上にハーフパンツ
上はTシャツの上にウィンドブレーカーでも寒くて薄手のストールを首に巻いて歩いてました
それでも手が冷えて…あまりに着込むわたしに「風邪ひいたの?」と声をかける人もいました(笑)
いや、普通に寒いでしょ!
さすがにバル休憩の際にフリースやパーカーを羽織るギャルもいましたが、そのまま夏真っ盛りの格好で歩く猛者もちらほら…もちろんカミーノ男子、カミーノおっさんもハーフパンツ率高し!
欧米人は日本人より体温が高いと言いますが…こんなに違うのかしらね

今日はひたすら麦畑の合間を歩きました

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んっとね…妄想にいいよ!
ただひたすらひたすらまっすぐなので、さして矢印探しもしなくていいし
もし今、理想のプロポーズは?と聞かれたらなんて答えようか…なんてことも考えてました(笑)
例えば白いホタテ貝の殻に指輪をのせてのプロポーズ、わたしが「はいっ♥️」と言うと周りが「ブエン カミーノ!」と言ってくれる!素敵!
なんて考えて、自分がすっかりカミーノに染まってしまったことに気づきました(笑)
日本にいた頃のわたしはそんなの望まないもん(笑)
※プロポーズしてくださるイケメンカミーノを絶賛募集しております

そんなわけで辿りついたサント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサーダ!
この街にはとある伝説がございます
昔サンチャゴ巡礼に向かう夫婦とイケメン息子がこの街に宿泊しました。3人が宿泊した宿屋の面食いな娘が息子に一目惚れ!この街に留まるように言い寄ります。しかしイケメンは両親との巡礼を望む旨を伝えると、娘はキレて宿屋の銀食器をイケメンのバックパックに隠し、無実の罪で告発、そしてイケメンは絞首刑になってしまいました。
失意のどん底の両親はサンチャゴ巡礼を果たし、その帰りにこの街に戻ります。
しかしなんと、息子は絞首台でまだ生きているのです!「聖ドミンゴが助けてくれた!」と言うのです。こうしちゃいられません!
両親はすぐさま役人に息子を下ろすように頼みます。しかし役人はやっぱり役人!信じてはくれず、「あのねぇ、お母さん、そんな馬鹿な話がありますか?それはね、わたしのランチのこのローストチキンが歌いだすようなもんなんですよ?わかってます?」と言いやがります。
しかしするとどうでしょう!役人のランチとなるはずだったローストチキンは生き返り高らかに鳴き声を上げたのです!
それ以来この街のカテドラルでは聖ドミンゴの奇跡を讃え、番のにわとりを飼っているのです。

観てきましたよ、カテドラル!
入場料3€ 巡礼者割引はありません
確かににわとりいました!
そしてそれを見守るように聖ドミンゴの霊廟がありまして、わたしの巡礼の無事をお願いしてきました
わたし達がこうして巡礼できるのもドミンゴさんが巡礼路を整備してくれたおかげです
そしてこのカテドラル、面白い展示品がいろいろありました
説明文が全てスペイン語なので詳しくは全くわからんのですが、それでも楽しかったです

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中庭にはレゴブロックで作ったサンジャンピエドポーからサンチャゴまでのジオラマもありました!

そして今日の夕食は歩いて15分のところにあるスーパーで見つけた中華シリーズのチャーハン!米だよ!(ノд・。)

今日のアルベルゲは大きく、設備も整っていて居心地がいいです
ダイニングの隣には2人掛けソファが15程並ぶ空間もあってみんなだらけてます
わたしもピレネーで活躍した厚手のストールに包まりながらだらけてます♪(邪魔だし寄付するかサンチャゴに送ってしまおうかと思っていたストールがここでも活躍!)
さりあ家のソファのほうが断然いいけど、ソファ自体久しぶりで文句は言えません!快適…

10日目 神がワインを与えた道

燃え盛る黄色い太陽と真っ青な空と無垢な雲

灼けつく大地とベリーが香る涼やかな風とたわわに実った輝く宝石のようなぶどうたち

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きっとエデンってものがあるならこんな感じなんだろうなぁ
そんなぶどう畑の中を歩いて歩いて歩いて28.7キロ
ナヘラに着きました٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
わりとフラットな道でそんなしんどく感じませんでした
さすがにナヘラに近づいた13時頃は黄色い太陽も元気100倍!と気張ってたのでわたしは焦げてました
食パンの耳あるじゃない?あれをトーストするともうちょっと色濃くなるでしょ?今のわたしはそんな色(〃艸〃)
腕と顔と首だけね♥️愛しのC3fitちゃんのお陰で脚は白いよ♥️
他の巡礼者を見習って脚だけ焼くように日光浴でもしようかしら…

今日も出発は6時
まだまだログローニョは真っ暗で、日本の深夜2時頃の雰囲気です
この時間健全なスペイン人は家の中にいます
しかし稀にお外にいる人もいます
酔っ払い、飲食店経営者、朝帰りのカップル、浮浪者…
ぶっちゃけ大きい街をこの時間に歩くのはとても怖いです
万が一襲われた時の為にポールは使わず握り締めて歩きます
しかし今日は同じ頃にアルベルゲを出た、濃いぃぃ顔のしかし笑顔が可愛いおじさんが居たので、必死に追いかけ2メートルと離れずぴったりくっついて歩きました!
怪しい人影が近づく度、更におじさんにくっつき「いや、うちら連れだし!らぶってるカップルだから!」とわたしなりに必死にオーラで追い払います
そのうちおじさんはわたしが怖がって、尚且つ矢印をなかなか見つけられてないことに気づいたらしく「オレの連れだよ」的な空気を出してくれました!
わたしがコケそうになるとやんわり歩調を緩め、公園のスプリンクラーが当たらないタイミングで歩いてくれ、道端に実るりんごの実をとってくれました

空も青さが増して来た頃バルを見つけました
おじさんはくるっと振り返りバイバイと手を振りそのまま歩き続けました
まるでわたしがそのバルに入ることを知っていたかのように…
巡礼者同士はたまに言葉が通じなくても会話します
たぶんこれは歩いてみないとわからない感覚なのかもしれませんね

ひたすら続くリオハワインになる為に大事に大事に育てられているぶどう達の合い間を歩く今日の道
絶対畑主の土地だよね?ってところをひたすら歩きました

大きな声でジョーク?を飛ばしまくって連れの女性が豪快に笑いながら歩くアメリカ人っぽいカップル(50代かな)が、豪快にわたしに挨拶して通り過ぎました
その後も豪快に笑い歩いていて、なんだか気持ちいいもんだなぁと思っていると…
男性の方がぴたりと止まります
辺りに人影を確認して道端のぶどうを一房ぶちりっ!
そしてわたしのほうを振り返り、ウインクしながらしぃーとジェスチャーしました…
これは…ヤコブのお告げだな?
わたしも真似して辺りを確認して、1番小さな一房をぶちりっ!

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すぐに道に戻り、ティッシュでふきふき…ぱくり…
神はぶどうに人々の夢と希望を与えたのだな…ハレルヤ!
と叫びそうになるほどうまかったぁ…
昨日のオシャレバルのワインと同じ味!
そりゃあリオハワインだからって思うでしょ?
あのね、本当にあの深みのあるワインと同じ味なの!ただ、もう少しだけ甘みがあるかなって感じ
あぁ…こりゃワインにしたくなるよ…うまいもん…
よくよく見るとわりと道端に先人達の食べカスが落ちてました(笑)

そして辿りついたナヘラのアルベルゲ
初めてアルベルゲ探しにこんなにうろうろしました(笑)
今日は初めてのボナティーボ(寄付制)のアルベルゲです

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ベッド近くない?(笑)ダブルじゃなくて、シングルが新婚さん並にぴったりくっついてるんだよ(笑)しかも二段ベッドの上で柵なし!
今夜はゲルマン系の真面目そうなおじさんとぴったり並んで寝ます(笑)