39日目 森のカムイ
昨日のアルスーアから今日は33キロ歩いてモンテ ド ゴゾという、サンチャゴから5キロほど離れた街に行きます
翌日の11時までに巡礼事務所でコンポステーラをもらって、12時からの「よくやった、ペリグリーノ!褒めてつかわす!」というミサに出席する為にここに1泊するのがペリグリーノのまぁ、お約束っていうか、みんなそんな感じです
モンテ ド ゴゾには公営アルベルゲしかなくて、最大収容人数800人の巨大アルベルゲです!
こう聞いたら泊まるしかなくない?
そんなわけで最後は仕方なく、33キロ歩いて公営に泊まることにしました
33キロ…
長かったよ…本当に長かった…
あぁ…自分の下半身にはこんなに関節があったんだなぁって実感しました
こんなにたくさんの関節が毎日絶え間なく頑張ってくれていたのに、わたしときたらその存在すら意識せず、「デブでも可愛いよ♪」という社交辞令に甘えくさって酷使していたのだね…
本当に申し訳なかった…日本に帰ったら今度こそちゃんとダイエットする!
まぁ…酷かったね(苦笑)
特に後半2時間…
わたくし5年程前に左足首を脱臼して靭帯を少し伸ばしてしまった過去があるのです…疲れたり冷やしたりすると今だに足首のご機嫌を損ねるのですが、それをかばったが為に他の全ての関節から顰蹙買ってしまいました
そして終いにかばったはずの左足首さんにも裏切られる四面楚歌な状況
家族には決して見せられない顔で歩いていたと思います(笑)
でもこんな経験、人生に何回もないだろうし、歩いちゃった( ♡ ´罒` ♡ )
それでね、いろんなドーピングで誤魔化しながら歩いててふと思ったんですが…
日本って無宗教って言われてますが、正確には違うじゃないですか
日本全土には八百万の神々が居てわたしたちの日々の生活をそっと見守り支えてくださってるわけでしょ
わたしの祖先とされてるアイヌも多神教で、たくさんのカムイ(神々)が日々の生活に密着してるんです
つまりわたしは日頃からたくさんの神様に守られているわけですよ
家から見える岩木山にも神様がいるし、たまに行く白神山地にも森のカムイがいるんです
山とか森とか川とか神様いて当たり前だし、だから豊かなんじゃない?って感じにずっと思ってたんです
じゃあ…スペインの山って神様いないの?
この毎日歩いてる森の中にはカムイはいないの?
スペインってキリスト教の神様ひとりだけでみんなを守って支えてるの?
あれ?(; ・`д・´)
すっごく今更なんですが、突然物凄く違和感を感じてしまったんです
この木々も、この風も、この小川も、このぶどうも、この月も…
あの、科学的に証明できない神という存在がどうのこうのって話じゃなくてね
もののけ姫の舞台か?ってくらい素晴らしい森なのに、シシガミ様はいないのかな?って…
そこで思い出したのが、この旅の中で読んだ本で、経典宗教(キリスト教やイスラム教)が生まれるずっとずっと前、世界は各地である動物を崇拝する文化があったとされているんだそうです
その動物とは、蛇
スネークカルチャーと呼ばれているそうなんですが、脱皮を繰り返すことや毒を持つことから、生と死を操る動物として崇拝の対象になっていたんだそうです
しかし新しい宗教、新しい神の出現により、古代からの神は"悪しき"神として滅ぼされることとなったそうです
とはいえ、それまでの信仰の対象をあっさり捨て去ることができるほど人間は単純ではありません
姿を変え、今だわたしたちの神話の中には蛇が存在します
西洋圏では悪しきものとして堕とされたメデューサや、東洋圏では更に昇格した龍など…
医療のシンボルになってたりもします
そしてね、わたし的にとっても意外だったのがイスラム教をモハメドが説く前はイスラム圏は日本のような多神教だったそうなんです(これは大学の頃に読んだ本で知りました)
宗教を研究したことないので詳しいところはわからないのですが、もしかしたら忘れられているだけでスペインの山にもカムイはいるのかもしれないなぁ…なんて思いました
なんてことを言うと「カトリックの国でなにを言う!」 って怒られちゃうかもしれませんが…
わたしはたくさんの神様が見守ってくれてるって思ったほうが嬉しいなぁ
明日はとうとうサンチャゴです