24日目 そしてレオンへ
昨日の夜はソフィアさんの断髪式で、わたしが切ってメキシコから来た27歳の男の子(スポーツ用品店経営、エベレスト登頂経験有)がバリカンで剃り上げるという作業を約3時間掛けてやり、ようやくソフィアは坊主になりました
大変ご満悦な様子でわたし達も思い出に残るカミーノの1ページを綴ることが出来ました(美容院行くって言ってたべよ)
その後3人プラスドイツ人の素敵なイケメンおじ様と夜のお茶会と洒落込み英語とドイツ語の会話を楽しみました
(半分くらいはわかった!たぶん…)
話は宗教の話になり、世界には日本人は無宗教だと知れ渡っているので、基本的にわたしは聞き役だったのですが…まぁ、思うことはいろいろございました
ソフィアさんはベジタリアンで毎日聖書を読み、聖書を学び生活の中でいつも意識すべきだと言います
動物とわたし達は同じ命を持ってるのよ!食べる為に殺すなんて!と…
とても理想的な生活ですね
しかしエベレストさんは(名前を聞きそびれた…)メキシコではみんな仕事と普段の生活が忙しくて聖書を読んだり学んだり、理想とする生活(植物や動物を育てて隣人を常に助ける…だったかな?)を送るのは事実上難しい
しかしみんな日曜日には教会に行くし、寄付もする、でもそれは本当に神を信仰してるに入るのかは正直わからないと思ってるらしいのです
だからと言ってエベレストさんがキリスト教を否定してるとかではなくて、もちろん自分もカトリックだけど、それだけを誇示する生活は送れないと言います
エベレストさんはお肉大好きで、ごはんを食べる前は必ずお祈りと自分の命を繋ぐ為に命をありがとうと感謝を述べて食べ始めるそうです
大変正直で最もな意見だと思います
しかしまだ若くピュア過ぎるほどピュアでお金持ちのスペシャルパパンがスポンサーになってるソフィアさんには理解できないと声を荒げていました
ソフィアさんは動物は食べません
卵も牛乳も口にしません
でもパスタは食べます
パスタには卵入ってますよね?(笑)
植物や果物を食べます
植物や果物も命がありますよね?(笑)
そしてソフィアさんは「いただきます」をしません(命を奪ってないからだと言ってました)
ベジタリアンを否定するわけではもちろんありません
でもわたしにはエベレストさんの言いたいこと、歯痒い気持ちはなんとなくわかります
「理想的な生活」と「実際の生活」の狭間で悩むのは日本もメキシコもどこも一緒です
エベレストさんはカミーノを歩き始めて1週間で5キロ痩せたと言います
イケメンおじ様も恐らくそうだと言います
わたしもたぶんそんな感じ
でもソフィアさんは「いつもカロリーを調節してるから変わらないわ♪どうしてみんなそんなに痩せるの?日頃の生活が乱れてるのよ♪」と仰います
えぇ…乱れていましたとも(苦笑)
日頃から毎日8時間しっかり眠って尚且つシェスタをしているソフィアさん
カミーノの特権とシェスタをここぞとばかりに楽しむエベレストさんやイケメンおじ様
生活濃度というのか、たぶん国とか環境で変わってくることなんだとは思います
ソフィアの無邪気さは彼女の最大の魅力だとわたしは思います(わたしの知ってる範囲では)
彼女のあの笑顔を前に誰もがついつい微笑んでしまうはず
だからと言ってエベレストさんやおじ様の意見を否定してはいけないと思うんです
エベレストさんは言葉を選ぶように、わたしにもわかるようにゆっくりと丁寧に話してくれました
きっと彼の思いはクリスチャンとしてはあまりお行儀のよくないことなんだと思ってるようで、時にバツが悪そうに話していました
おじ様はさすがにわたし達よりは長く生きてるだけあって決して彼を否定はせず、むしろそれはよくあることだと言っていました
しかしソフィアは納得しません
このカミーノとは言ってみれば、キリスト教を一生懸命世間に広めようと努めたヤコブさんのお墓参りです
ヤコブさんのお墓を目指し世界中からわたし達は集い、歩きます
じゃあみんなヤコブさんの偉業を讃えてるの?
みんなクリスチャンなの?
みんな毎日ミサに出て、いつもロザリオを首から下げ、クリスチャンとしての「理想的な生活」を営んでいるの?
きっといろんな思いがあっていいんです
わたしには矛盾に感じるソフィアのベジタリアンも、ソフィアが納得出来ないエベレストさんの生活も、真っ直ぐに自分の至らなさを悩むエベレストさんも、日本をどこか理想郷のように信じてる風のおじ様も
正解はない問題というか話題なんです
だからこそ否定することなく、「いろんな考えがあるもんだなぁ」と受け止めるべきではないかとわたしは思うのです
あなたはどう思いますか?
もし日本人としてこの話題を目の前で展開されたら
そして突然のソフィアの眠い発言によってお茶会はお開きになり、わたしとエベレストさんはカップを洗いながら少しお話をして、それぞれ冷たくなったベッドに向かいました
エベレストさんはとても礼儀正しい真面目な青年で、断髪式を手伝ったわたしに何度も何度もお礼をしてくれ、わたしはとても好感が持てました
「明日はレオンだね。韓国人の女の子に美味しいタパスのお店聞いたから一緒に行こうよ!レオンではどのアルベルゲに泊まるの?」
と目を輝かせて聞いてきました
スペインに来てから食事に誘われたのは始めてでわたしはとても嬉しくて、自分の泊まる予定のアルベルゲを教えました
彼も同じところに泊まるつもりだったと喜んでいて、明日は3人でタパスかぁ♪カミーノって楽しいなぁ♪と思いながら眠り着きました
翌朝わたしがいつものように5時に起きるとソフィアは健やかに寝息を立てていました
キッチンにはおじ様と同室だった寝言が激しいおじいちゃんが朝ごはんを食べていました
そして出発の際にもソフィアもエベレストさん降りてはきませんでした
ゆっくり歩きのわたしには仲間がいないほうが歩きやすいので特に問題なくひとりで歩き、レオンに入った辺りでジェームズに会いました
ふたりでアルベルゲを探し、受付の際にオスピタレロのスペイン語の質問をジェームズが訳してくれて、とても助かりました
シャワーを浴び、スーパーにジュースを買いに行った帰りにカテドラルに寄るとまたしてもジェームズが(笑)
今日はよく会うねと笑い合い、それぞれ迷いながらアルベルゲに戻りました(笑)
アルベルゲの前にある広場で、スーパーで買ったソーセージの入ったパンとジュースを飲み、宝探しとい称して巡礼者同士でマークを書き込み探すゲームをしている一団を見守りました
部屋が暗いので日陰の涼しいベンチで本を読んでいましたが、ソフィアもエベレストさん来ませんでした
夕方は暑さからか少し頭痛がして、キッチンで軽く夕食を食べ、さっさと寝てしまおうと思っていたら…
日本人女子大生が登場しました!小柄でとっても可愛らしい女の子です!
久しぶりに貪るように日本語で会話しました
その子の登場の直前に友人に「日本語で会話したい」とメールしたばかりだったので本当にびっくりしました(笑)
日本語で話すわたしを見たミックが
「日本語を話すときの君は歌うように話すんだね♪とてもラブリーだよ( ´ ▽ ` )」と言ってくれ
昨夜寝言の激しかったおじいちゃんも
「君達の会話はとてもエスニックでオリエンタルな響きだね。美しい響きだ」と言ってくれました
エスニックでオリエンタルで歌うように津軽弁を捲し立てるわたしをこんなに可愛がってくれるおじいちゃん達がとても愛しいわ♪( ´▽`)
きっと英語と違ってスラスラ言えるんだねってことだと思うけど(笑)
その後1日で40キロ以上歩いてるというチェコから来た強者女子とメロンを食べているとジェームズが登場
オランダの自転車事情を語ってくれました
明日はまたレオン観光の日なので、きっとジェームズともラブリー女子大生
とも強者女子とも今日でお別れです
きっとエベレストさんとも…
イケメンおじ様とも(ノд・。)カナシイ
そしてまた新たな出会いがあるんだろうねぇ(๑´ڡ`๑)
大丈夫、楽しんでるよ!