12日目 白い月が導く道
今日は月に向かって歩きました
出発してすぐの頃はいつも通り真っ暗
そして激しく寒い…11℃!8月だよね⁉︎
街灯も少ない小さな街だけど、月明かりが眩しくライトいらずで歩けました٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
何度か曲がり角もあったけど、麦畑の中をずっと月に向かって歩きます
後ろから太陽が追いかけてきて、ついに世界に光が満ちました
それでもわたしの前には大きく白い月が優しく道を示してくました
巡礼中は黄色い矢印を探して歩きます
地図がなくてもとりあえず、聖地まで辿り着けるように街の中、森の中、山の中…黄色い矢印が巡礼者を導きます
でも聖地へ着いてしまったら…
空港に行って、飛行機に乗って、ママンの待つ我が家に帰ったら…
黄色い矢印はありません
わたしはどこへ向かえばいいのだろう…
仕事も恋も全部中途半端で逃げ出して、こんな放浪生活をして(しかもスポンサー付き)…
この旅に「心の傷を癒す」なんて大層な言い訳もできないような、ただただ情けない自分は旅の果てになにを得るんだろう…
とりあえず日焼けはしたな
何年振りだろ…小学生以来かな(笑)
色白であることが絶対の条件だと思っていたあの頃
その時に比べたら確かに少し変わった
焦げたわたしも悪くない気がする
そしてスペインのスーパーで買い物ができるようになった
車輪付きの買い物カゴも引っ張れるようになった
それから…言葉はよくわかんないけど、アルベルゲに泊まれるようになったし、バルでなんとか朝食とメヌーは食べれるようになった!
そしてカミーノは丸裸にされることを知った
日本で装備していたいろんな鎧はガラガラと崩れ落ちた
実は全然話せない英語もそうだし(笑)
どんなに颯爽と格好つけて歩きたくても、等身大のスピードと歩幅でしか歩けない
どんなに「カミーノだったらすぐに友達くらい作れるわ!だってノリのいいラテン系ですもの!」なんて言ったって、やっぱりみんな生身の人間でどう接していいのかわからない
言語も体力もコミュニケーション能力も持たないわたしはそれでも歩く
この分だと「カミーノで唯一友達を作れなかった巡礼者!」という奇跡を起こしそうな勢いだけどそれでも歩く
歩いて歩いて歩いて歩いて…
そしてわたしの後にも道ができる
わたしの後を歩く巡礼者にこの道でよかったのだと安心させることはできる
そこから始めてみよう
今日は宿場町ベロラードに着きました